Designated Producers

2011年度神戸肉枝肉共励会・名誉賞
「太田牧場」太田克典さん

但馬牛のふるさとにて
但馬・鉢伏高原にほど近く、冬は深く雪に閉ざされる山あい。ここに8棟もの牛舎を有する大規模な肥育農家が、太田克典さんです。各地の肉牛品評会ではすでに受賞者として常連ですが、2011年はとくにA5-12という最高ランクの神戸ビーフが続出するという「当たり年」。
牛舎を訪ねてまず気づくのは、その清潔さ。掃除がすみずみまで行き届いている上に、牛舎の天井に配置した何台もの大型扇風機で、床を常に清潔に乾燥させているため、牛舎特有の匂いがほとんど気になりません。
「掃除がまめにできてへんのは、牛にも目が行き届いてない証拠やと思う。自分がもともときれい好きやし、スタッフも徹底してくれて、わしがわざわざ言わんでも、うちは常にこれが当たり前の状態」と太田さん。人里離れた小高い山ならではの澄んだ空気も手伝って、夏も涼しく爽やか。ストレスの少ない快適環境と、5人の肥育スタッフのきめ細かなケアのおかげか、多頭数牧場ながら、驚くほど牛たちはみな穏やかでやさしげです。
“牛飼い”に注ぐ、あくなき情熱
ここ10年ほどの間に、100頭規模から1000頭規模へと、10倍の成長を遂げた太田牧場。「牛飼いを始めた頃から “いつかは1000頭飼えるように”を目標にしてきた」との言葉通り、毎年のように牛舎を新設し、牛を増やしてきた日々でした。
「もうそろそろ、ええかげんにせなあかんと思うけど、ええ牛を見たら欲しぃなってしまうねんな。“こんなええ牛、ほかのモンにやれるか”と思うてしまう。“牛飼い根性”やな。そやからなんぼ牛舎新しく作っても、すぐ満杯や。きりがあれへん」と豪快に笑います。1年に買い入れる子牛は約500頭にも上りますが、1頭1頭すべてに太田さんが目を光らせて厳選買い付け。「ほかの人間が選んだ牛は気に入らん。これだけは他人には任せられん」と言い切ります。
日々の積み重ねを大切に
牛を肥育する上で一番難しいことは?との問いには「難しいのは全部難しいけど、普段の健康管理がやっぱり一番やな」との答え。飼料は独自に研究を重ねてブレンドしたものを使用。さらに、純血種である但馬牛は他の銘柄牛に比べて体質もデリケートなため、牛が不調になる前のわずかな兆しを見逃さずに先手を打ってケアすることが大切とか。「横着モンじゃつとまらん。とにかくまじめにコツコツやれるかどうか。うちのスタッフは若いけど、みんなようがんばっとる」と太田さん。
「やっぱり但馬牛、神戸ビーフは味が繊細でやさしい」と太田さんが太鼓判を押す品質。それは特別に手をかけて但馬牛の血統を守り続ける、肥育農家の努力の賜物なのでしょう。

12月後半から3月初旬までは雪に覆われるという但馬らしい自然の中、丹精込めて牛を育てる太田さん。